現在の覇権国家アメリカの通貨“ドル”は、最強の通貨といってもよいでしょう。
1944年のブレトン・ウッズ会議で、アメリカのドルは世界の基軸通貨となりました。
基軸通貨には、信じられないほどの特権があります。
◇紙幣の起源
それを説明する前にシニョリッジについて説明しておきましょう。
シニョリッジとは、通貨発行益といわれ、
通貨発行者だけが独占的に得ることができる利益です。
昔、お金が鋳貨(コイン)だった頃、
貨幣を悪鋳すると、その浮いた分だけ実物的利益を得ることができました。
たとえば、金10g=1000円のとき、金10gを使って2000円金貨を鋳造すれば、
貨幣発行者は1000円の差額を利益として得ることができます。
ローマ時代、軍事費と宮廷費を賄うため、貨幣の金含有量を減らす“悪貨鋳造”は続き、
貨幣により国民の富は搾取され続けました。
中世ヨーロッパや日本の奈良時代・江戸時代にも同様のことがおこなわれています。
当時のおカネは金属で、原則的には、その金属の価値がおカネの価値でした。
ところが、これが現在のような金との兌換性のない紙幣だと、
おカネをつくるのにかかる費用は印刷代と紙代だけ。
ほぼ、まるまる差益となります。
今、これを世界的に見れば、シニョリッジによる利益は、
基軸通貨であるドルを発行するアメリカが得ていることになります。
アメリカは、貿易で購入した製品に対し、米ドルを刷って渡すだけで、
他国から好きなものを手に入れることができます。
他国のように汗水流し、
苦労して輸出先を開拓し、商品やサービスを販売して稼ぐ必要はありません。
貿易相手国は、基軸通貨のドルなら、
アメリカ以外の他の国からも米ドルで商品を買えるという点に“ドルの価値”を認めています。
特に現代文明の源である“石油”を購入できるというのが、もっとも大きな信用となっています。
勿論、その他にも、圧倒的な軍事力や国際政治力もこれを支えていますが、
結局、ドルの価値は米国以外の国々が米国を信用することによって成り立っています。
では、このドルとは、いったいどんなお金なのでしょう?
◇紙幣の起源
ドルを発行しているのは、アメリカの中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FRB)です。
連邦準備制度理事会の理事は合衆国大統領によって任命されますが、
理事会の実際の業務の管理は、理事と協議しつつ連邦諮問評議会が行います。
連邦諮問評議会は、
1914年に開かれた連邦準備制の組織委員会で選定された
12の特権的都市の“金融地区”連邦準備銀行の役員によって選出されますが、
連邦準備法に基づき一般には公表されていません。
全米12の地区連邦準備銀行は、金利を設定し、
公開市場操作を指揮することによって米国通貨の日々の供給と価格を
コントロールすることができます。
この12ある地区連邦準備銀行の中で、最大の銀行が“ニューヨーク連邦準備銀行”です。
アメリカの金融政策である金利や通貨の数量と価値、
および債権の販売は、実質的にはニューヨーク連邦準備銀行が決定しています。
1914年当初、ニューヨーク連邦準備銀行は20万3053株を発行し、
ナショナル・シティ・バンクが最大の株数3万株を取得。
ファースト・ナショナル・バンクが1万5000株を取得。
チェース・ナショナル・バンクが6000株、
マリーン・ナショナル・バンク・オブ・バッファローが6000株、
ナショナル・バンク・オブ・コマースが2万1000株をそれぞれ取得しています。
さて、ニューヨーク連邦準備銀行の株を所有するこれらの銀行の株主は-
となっています。
つまり、ニューヨーク連邦準備銀行は、
欧米の銀行が株の100%を保有していて、米国政府は1株も保有していません。
上記の中でチェース・マンハッタン銀行が米国のロックフェラー系ですが、
他はすべてがロスチャイルド系の金融機関です。
要するに、
実質的にロスチャイルド一族が米国の中央銀行を支配しているということになります。
ちなみに、現在のニューヨーク連邦準備銀行は、
J・P・モルガン・チェースとシティ・バンクの二行だけで53%近くの株を所有しています。
つまり、ロスチャイルド・モルガン・ロックフェラーという
世界最強の財閥連合が相も変わらずFRBを支配しているということになります。
◇紙幣の起源
日本語で紙幣と手形は違う言葉で表現されますが、
英語では紙幣も手形「notes」「bill」「draft」です。
つまり、ドルというお金の正体は、米国政府が発行する国債を担保に、
ニューヨーク連邦準備銀行が政府に貸し付けた手形=債権証書なのです。
たとえば、米国政府が1億ドル必要だとしましょう。
そうすると連邦準備銀行は、米国財務省から1億ドル分の国債を購入し、
政府の口座に1億ドルを振り込みます。
この政府に振り込まれた1億ドルは、
誰かの口座から借りてきて振り込んだおカネではありません。
連邦準備銀行が何か実物的な資産を提供しているわけでもありません。
ただ、米国政府の口座に1億ドルと記入するだけです。
連邦準備銀行は口座に数字を記入するという行為だけで“無”から1億ドルを創造するのです。
そして、政府は1億ドルを受け取り、
公共事業等の出費として米国社会に1億ドルが流れていきます。
さて、政府は時が来たら返済時に利子をつけて返さなければなりません。
仮に利子をつけて1億500万ドルを返済するとしましょう。
米国政府は国民から税金を集め、1億500万ドルを返済しなければなりません。
しかし、世の中に出回っているおカネは1億ドル。
500万ドル足りません。
政府が1億500万ドル返済するには、
新しく国債を発行し、世の中に流し、回収するしかありません。
ここに、政府の借金が規則的なリズムで大きくなっていく理由があります。
銀行は“無”からおカネを生み出し、国民はそれに対して利息を支払う義務を負う。
また、政府は財政赤字を積み上げていく。
そして、このマジックのようなおカネを使って
世界中からアメリカに実質的な富が流れ込んでいく。
その利益が最終的にはロスチャイルド一族をはじめとする
国際金融資本家の懐に収まる、という仕組みになっています。
つまり、銀行とは合法的な搾取システムなのです。
「現代の銀行制度は、貨幣を“無”から作り出す。
その手口は、恐らく、これまで発明された詐術の中で、もっとも驚くべきしろものである。
銀行は、不正によってつくられ、罪のうちに生まれた。銀行家は地球を所有する」
ジョシア・スタンプ卿 イングランド銀行総裁(1928~1941)